「熱転写用色素」とは

「熱転写記録方式」は印刷方式のひとつで、インクリボンと受像紙を重ね合わせ、プリンターのサーマルヘッドの熱でインクリボン中の色素を昇華または拡散させて専用の受像紙に転写し、画像を形成する方法です。「昇華型熱転写記録」とも呼ばれますが、必ずしも色素の昇華は伴いません。
かつて「プリント倶楽部 (プリクラ) 」に搭載されたのをきっかけに需要が拡大。写真媒体に特化しており、写真店店頭でのセルフプリントシステムや、テーマパーク等での写真プリント、セルフ型証明写真、身分証明カード用の写真、トレーディングカードなどに幅広く採用されています。また、中間調の表現が得意で、銀塩に次ぐ色域の広さなどの特徴を生かし、医療診断用の記録などにも活用されています。
一方、文字などの境界のはっきりとした印刷は苦手であることから、インクジェットプリンタなどと住み分けがなされています。

熱転写記録方式の印刷原理
- インクリボン
- 受像紙
- 背面層
- 基材
- インキ層
- 受容層
- 基紙
インクリボンは、基材フィルムにインキ層を塗布することによって作成され、そのインキ層は、主に着色剤とバインダーによって構成されています。熱転写方式のプリントには、顔料ではなく分子サイズの小さい染料が用いられ、それによりサーマルヘッドの熱量での微細な放出量コントロールができます。染料の中でも、特に、昇華性、保存安定性、耐久性の良い「分散染料」が使用されます。
富士フイルム製「熱転写用色素」の例
1.シアン

商品名 | CAS番号 | 溶液吸収 | 溶解性 |
---|---|---|---|
λmax (nm) | |||
OTC-001 | 非公開 | 619 | 可溶:MEK、トルエン |
OTC-003 | 非公開 | 643 | 可溶:MEK、トルエン |
2.マゼンタ

商品名 | CAS番号 | 溶液吸収 | 溶解性 |
---|---|---|---|
λmax (nm) | |||
OTM-001 | 非公開 | 514 | 可溶:MEK、トルエン |
OTM-002 | 非公開 | 540 | 可溶:MEK、トルエン |
OTM-005 | 非公開 | 523 | 可溶:MEK、トルエン |
3.イエロー

商品名 | CAS番号 | 溶液吸収 | 溶解性 |
---|---|---|---|
λmax (nm) | |||
OTY-001 | 非公開 | 436 | 可溶:MEK、トルエン |
OTY-003 | 非公開 | 436 | 可溶:MEK、トルエン |