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日本

導入事例三ツ山病院

地域に密着した「かかりつけ医」の日常診療・健診など、さまざまな胸部疾患の診療をAI技術を活用したソフトウェアが支援

胸部X線画像病変検出ソフトウェア CXR-AID 導入事例

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

療養型病床を有する病院として患者・受診者一人ひとりの心情に寄り添った医療サービスを提供する北海道小樽市の三ツ山病院。
小樽市において日常診断に加え、健康診断の胸部疾患の受診ニーズが高まるなか、胸部X線画像病変検出ソフトウェア「CXR-AID」を活用し、病変や異常領域の見落としを防止する環境構築を推進している。

三ツ山病院

理事長・院長 中井 義仁 氏
経営企画統括 岩崎 敏晴 氏

(左)岩崎氏(右)中井氏

AI技術を活用した読影支援
見落とし防止への貢献に期待

三ツ山病院の特長は。

中井氏 「心ある医療」を基本方針として掲げ、患者さまが安心して受診できる医療環境を整備しています。また、地域の「かかりつけ医」の立場から初期診療を重視し、中核病院と連携しながら地域住民の健康を支えています。

岩崎氏 日常診断に加え、健康診断においてもさまざまな疾患の早期発見・早期治療に努めています。朝早くから稼働する企業さま向けに早朝健診を実施するなど、幅広い健診ニーズに応えています。

胸部X線画像病変検出ソフトウェア「CXR-AID」を導入した経緯は。

岩崎氏 厚生労働省は生活習慣病の予防と早期発見を目的に、健康診断の受診を推奨しています。そうした流れを受けて、当院では企業健診を中心に健康診断を積極的に実施し、1日あたり40名前後の受診にも対応してきました。実施件数が増加するなかで感じていたのは、胸部単純X線検査における病気、または病気兆候の見落としリスクです。今後も受診依頼の増加が見込まれるため、当院ではさまざまな見落とし防止施策を検討しました。そこで関心をもったのが、AI技術のひとつであるディープラーニングを設計に活用した「CXR-AID」です。AI技術による支援を取り入れることで、限られた人員でも効率的かつ高水準の読影ができると感じ、中井理事長・院長に提案しました。

中井氏 私を含めた3名の医師で外来と健康診断を対応しています。読影に関しては担当曜日を決めてダブルチェックを行うなど精度の充実を図ってきましたが、他2名は耳鼻科と小児科が専門のため、読影業務を支援する施策が必要でした。その点、「CXR-AID」の検出性能は当院の読影水準を下支えしてくれると判断し、道内の医療機関に先駆けて導入を決めました。

胸部単純X線検査の見落とし防止と、一体感のある読影体制づくりを目指す

運用状況と使用感は。

中井氏 2022年5月に運用を開始し、胸部X線画像の読影に使用しています。3か月ほど使った印象としては、簡単な操作でAI検出機能を起動でき、結節・腫瘤影、浸潤影、気胸が疑われる領域が分かりやすく表示されるので、見落とし防止に役立っていると感じています。富士フイルム社の医用画像情報システム「SYNAPSE」と連携しているので、注視したい検出領域がある際には画面上をクリックするだけで昨年の撮影画像がすぐに表示され、即時的かつ効率的な比較読影につながっています。

理事長・院長 中井 義仁 氏

検出精度は。

中井氏 精査する必要のある領域をしっかりと検出していると思います。検出領域を示すヒートマップは、明瞭なグラデーションで重要度合いを知らせてくれるので分かりやすいです。有用性を感じた症例としては、昨年は異常が見受けられなかった健康診断受診者の撮影画像に「CXR-AID」を使ったところ、肺尖部にヒートマップが表示されたため、画像を再確認の上、中核病院で精密検査をした結果、病変が確認されました。同時期に導入したX線撮影用フラットパネルディテクタが撮影画像の画質を向上させていることも、「CXR-AID」の検出精度に寄与していると思います。

運用ルールは。

中井氏 読影医個人が「CXR-AID」の解析結果をどのように判断すればよいか迷った際には、読影医間で共有し、当院としての最終判断を決めるようにしています。「CXR-AID」の運用をきっかけに読影フローを見直せたことも、効率的で安心感のある読影につながっていると思います。

運用効果は。

中井氏 AI技術に基づく検出支援により、読影医の心理的負担は軽減しています。さらに、健康診断の受診を検討する企業さまにとっては、AI技術が支援する診断体制は安心材料になっているようです。一例として、企業健診の担当者さまに「CXR-AID」を用いて読影のデモンストレーションを行ったところ、見落とし防止の効果に納得されて健康診断先を当院に切り替えた事例があります。

「CXR-AID」を使用した読影風景

画像診断を幅広く支援するソフトウェアへ
地域の医療従事者が期待する可能性

「CXR-AID」に今後期待することは。

岩崎氏 画像診断においては、今後胃カメラ検査のニーズが高まることが予想され、その潮流に対応するかのように、業界全体で内視鏡領域のAI技術を駆使したシステム・機器開発が進んでいます。富士フイルムには、医療機関から吸い上げた意見を開発に活かしながら、「CXR-AID」のようなAI技術の運用範囲をぜひ内視鏡領域まで拡張していただきたいです。健康診断を通じて地域の方々の健やかな日々を支える当院にとって、「CXR-AID」のような診断支援ソフトウェアはとても心強い存在になるはずです。

中井氏 当院はこれからも「CXR-AID」の有用性を地域に発信しながら、高まり続ける診断ニーズに応えていきます。マクロ的な視点では、地域医療において一層精度の高い診療を実現するためには、地域内の医療機関が連携し協力し合うこと必要になります。現在、小樽市内で「CXR-AID」を導入する医療機関が増えていることは、協力体制を構築するうえで追い風になっているのではないでしょうか。将来的には、「CXR-AID」を運用する“同志”が連携し、撮影画像を共有して意見を交わせる仕組みが生まれることを期待しています。

経営企画統括 岩崎 敏晴 氏

胸部X線画像病変検出ソフトウェア CXR-AID

販売名

胸部X線画像病変検出(CAD)プログラム LU-AI689型

承認番号

30300BZX00188000

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