このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
富士フイルムグループの最新機種が導入された健康診断施設「富士フイルムメディテラスよこはま」。AI技術を活用した画像処理機能などを搭載したマルチスライスCTシステム「FCT iStream(以下FCT)」の使用感などについてお話をうかがった。
富士フイルム健康管理センター
富士フイルムメディテラスよこはま
検査科 樽井 香菜 氏

(左)樽井氏 (右)小川氏
小川氏 富士フイルムメディテラスよこはまは、富士フイルムグループ健康保険組合が設立した組合員向け健診センターで、2022年4月に富士フイルムビジネスイノベーション㈱の横浜みなとみらい事業所1,2階にオープンしました。当院では、充実した人生を送るうえでは「心身ともに健康であること」が欠かせないという考えのもと、経験を積んだ医師・スタッフが富士フイルムグループの最新の内視鏡やマンモグラフィ、CT、AI技術を搭載した医療ITシステムなどを活用した高品質な健診サービスの提供を目指しています。そして、職員一同、受診者の皆さんに寄り添った健康サポートを通じて、富士フイルムグループパーパスである「地球上の笑顔の回数を増やしていく。」の実現への貢献を目指しています。
小川氏 CT検査は、主に人間ドックのオプション検査として選択可能で、受診者は肺がんCT検査、内臓脂肪などの検査を受けることができます。また、健診の事後措置での精密検査やフォローアップなど、診療での活用も開始しており、現在の検査数は1ヵ月あたり60件ほどです。

小川氏 健診の受診者は健康な方が多く、さらに忙しい業務の合間に来院される方がほとんどです。そのため、できる限り負担を少なくして、スピーディに健診を受けていただきたいと考えています。そこで、CTの導入においては、低被ばくで高画質が得られること、スムーズに検査を終えられることを重視しました。
肺がんCT検診は、レントゲンと比較して肺がんの検出率が高いことが多くの研究で示されており、特に50歳以上の喫煙者などの肺がんのハイリスク群において有効とされています。その一方で、CT検査の被ばくがレントゲンよりも高いことは多くの受診者も知るところであり、被ばくに対する漠然とした不安感が検査の心理的障壁になることがあります。もちろん検査を受けるか否かの選択は任意ですが、私たちは受診者が自分にとってのリスクとベネフィットを理解して検査を取捨選択できるよう、適切な情報発信をしていきたいと考えています。そのためには、私たちが自信をもって「当院では低被ばくであり、なおかつ質の高いCT検査を実施しています」と説明できる装置が良いと考えました。
小川氏 被ばく線量については、当施設のCT肺がん検診では1mSvほどと、一般診察時のCTの被ばく線量と比較して80~90%低い線量で撮影ができています。一般的に低線量で撮影を行うと、画像ノイズやアーチファクトなどの画質劣化が課題になります。これに対して、FCTでは、AI技術を活用して開発した画像処理によりノイズやアーチアクトが効果的に低減されると説明を受けていましたが、その効果を実感できています。
画質については、肺野だけでなく腹部領域においても良好で、読影医の先生から指摘を受けたこともありません。

右上葉すりガラス(実効線量:0.75mSv)

被検者登録 Quick Entry画面
樽井氏 まず、被検者登録時には、撮影プロトコルの選択画面が大きなボタンで表示されるため、迷うことなく検査を始められます。
また、スキャノグラム撮影後には撮影範囲、視野サイズが自動設定されますが、設定された範囲を確認して、ほぼ修正することなく撮影できています。
さらに、画像処理も速く、撮影中の画像がリアルタイムで確認できるので、目的の範囲の撮影ができたことを確認次第すぐに撮影を終了できるなど、効率的なワークフローの実現だけでなく、受診者の負担軽減にもつながっていると実感しています。
加えて、FCTには、ポジショニングでは1ボタンで撮影開始位置までセットできる機能*2など、ワークフロー向上技術が搭載されていると富士フイルムの営業担当者から聞いており、今後の状況によって使用を検討していきたいと考えています。
樽井氏 正直なところ、富士フイルムのCTを使用するのは初めてだったため、最初は不安がありました。しかし、実際に操作をしてみると、画面はすべて日本語表記でシンプルですし、すぐに慣れて、問題なく操作ができるようになりました。
画像解析については、導入当初は体脂肪検査などSYNAPSEVINCENTCoreでの解析がメインでした。最近はMPRなどの解析処理の頻度も上がってきましたが、FCTとSYNAPSEVINCENTCoreの解析ビューアの操作性が統一されているため、迷うことなく操作できると感じています。
今後は、再構成画面の操作性がもう少し改善すると、さらに使いやすくなると思います。

小川氏 富士フイルムは、CT、マンモグラフィ、超音波や内視鏡といったモダリティだけではなく、AIを活用した技術による診断支援や、さらに私たちメディテラスよこはま、海外においてはNURAといった健診センターの展開など、さまざまな角度で予防医療にアプローチしています。
超高齢化社会を迎える今後の日本における健診は、早期発見はもちろん、病気になる前の段階で健康を維持し、病気を未然に防ぐことが求められます。そうした病気の未然防止は、私たちが取り組む企業健診においても、社員の健康管理を強化し、病気のリスクを早期に発見・対応するという観点で重要であり、社員と企業の双方にメリットが生まれます。
富士フイルムは、「写ルンです」や「チェキ」などを通じて、人々が気軽に写真を撮り、思い出や笑顔を残せるよう支えてきた企業だと考えています。今後、医療の分野においても、人々が気軽に健診を受けられ、"地球上の笑顔の回数を増やしていく"ことにつながる製品を開発・提供し続けてもらいたいですね。
赤:自動設定された位置
青:自動設定された位置+マージン設定の位置
- *1 AI技術のひとつであるMachine Learningを活用して開発した技術です。導入後に自動的に装置の性能・精度が変化することはありません。
- *2 設定された位置は操作者が確認します。また、撮影開始位置は操作者によって調整することも可能です。
- *3 自動算出された撮影範囲を操作者が確認します。また、自動算出された撮影範囲は操作者によって調整することも可能です。