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電子契約とは?仕組みや法的効力、メリット・デメリットを徹底解説

電子契約とは?
仕組みや法的効力、メリット・デメリットを徹底解説

 

さまざまなものが電子化の一途をたどる中、時代の流れに乗って契約書をインターネット上で締結できるソフトウェアが登場。さらに、それをクラウド上で可能にした電子契約サービスや電子契約システムも登場しています。便利なツールではありますが、導入にあたってはメリットとともに注意点や、導入の際にぶつかる問題について考える必要があるでしょう。

今回は電子契約の種類と、書面契約との違い、仕組みや法的効力、メリット・デメリットについて解説します。電子契約の導入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

電子契約とは、電子データ上でサインまたは署名することで契約を交わすことを言います。本来、契約において書面などは必要なく、口約束でも成立すると定義されています。しかし、のちのちトラブルが起こった際に「言った」「言わない」の問題に発展しないために取り交わされるのが契約書です。電子契約とは、契約書を紙面ではなく電子データで取り交わす契約と考えて良いでしょう。

電子契約は、新型コロナウイルス感染拡大の真っただ中、書面の押印のためだけに出社をすることが社会的に疑問視されたことに端を発し、注目を集めました。一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の調査結果では、電子契約システムの利用を開始した会社は67.2%にもなったと発表されています。この数字は前回調査の4割よりも大幅に上昇しており、急速に普及したことがわかります。

電子契約システムの利用を開始した全社は67.2%

電子契約の利用状況(2021年調査): 出展:JIPDEC/ITR「企業IT利活用動向調査2021 集計結果(詳細版)」

電子契約システムは、電子化の流れと新型コロナウイルスにともなう働き方の変化に対応した、非対面での契約を実現したものなのです。

電子契約の種類

電子契約には電子サインと電子署名の2種類があります。呼び方の違いだけだと思っている人もいますが、役割や定義が異なります。

  • 電子サイン(立会人型電子署名)
    第三者認証までは行わない、広義の概念としての電子契約。確認や承認目的で使用されることが多い。
  • 電子署名(当事者型電子署名)
    法的に本人性を担保する目的のある、厳格な電子証明書を発行する際に使用される。

比較すると、電子署名の方が厳格な意味を持つものとなります。意味合いや法的効力がまったく異なるため、混同しないようにしましょう。

電子契約と書面契約の違い

電子契約と書面契約は共通点が少なく、別物と言ってよいでしょう。どちらも契約を取り交わすために用いられるものであり、法的効力のあるものですが、形式や押印の方法、保存方法が異なります。以下に主な違いを一覧でまとめています。

  電子契約 書面契約
形式 電子データ・PDF
押印 電子署名 印鑑・印影
本人性の担保 電子証明書(電子サインの場合は不要) 印鑑証明書
改ざん防止の方法 タイムスタンプ 契印・割印
保管方法 サーバー 紙媒体で書庫や書棚
印刷 不要 必要
送付方法 インターネットによる送信 郵送または持参

2022年1月に改正、義務化された電子帳簿保存法に基づき、電子契約の場合は電子での保管が必須となりました。電子契約を結んだ場合、保管方法は電子のみとなります。改正された電子帳簿保存法は2年間の猶予期間が設けられたため、今すぐ対応しなければならないわけではありませんが、今後のために電子契約で結んだ契約書はすべて電子保存しておくようにしてください。

電子契約では、下記の流れで契約書の締結を行います。なお、以下の図は電子署名による電子契約の場合です。

電子契約の仕組み

作成した電子契約書は作成者情報をまとめた電子文書などと一緒に圧縮します。電子契約書は、まず認証局へ届出て、秘密鍵と公開鍵が発行されるのを待ちます。発行された秘密鍵を用いると電子契約書が暗号化され、第三者による改ざんができなくなる仕組みです。

受け取った側は公開鍵にて電子契約書の暗号化を解除し、同封されている電子文書と内容を照合し、相違なければ契約締結する署名を交わして終了となります。安全性を強化するのであればタイムスタンプを使用して、以降変更が行われていないことを証明しても良いでしょう。

なお、業務委託契約書など、信頼性の担保が電子署名を用いるほど重要ではない書類については、電子サインを取り交わします。

電子サインの仕組みについては、"電子契約サービスとは"の「事業者署名型」の説明を参照ください。

電子契約において問題視されるのは、その法的効力です。そもそも契約書は、相手との契約内容に合意した証拠として残すものであり、民事訴訟法第228条に基づいて証拠力が必要となります。

【民事訴訟法第228条】
1項 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
4項 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。

出典:e-Govポータル(https://www.e-gov.go.jp

では、電子契約についてはどうなるのでしょうか。これについての法務省別窓で開きますの見解によると、電子証明書のない電子署名も法的に有効だと認められているとしています。電子署名法第3条の条文を補完するものとして認識されています。

【署名法第3条】
電磁的記録であって情報を表すために作成されたものは、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

出典:e-Govポータル(https://www.e-gov.go.jp

つまり、電子契約であっても紙の契約書同様に法的効力が認められていることになります。法律上も法務省の見解上も、電子契約だから法的拘束力がないということにはなっていません。

電子契約のメリット

紙媒体と同じように法的効力を持ち、新型コロナウイルス感染拡大期において、在宅勤務の導入など働き方を変えるほどの影響力を与えた電子契約。それ以外にも、電子契約を導入することのメリットは多くあります。特に電子サインは社内・社外を問わず、電子署名ほど大幅な手間をかけずに確認や承認作業ができるメリットがありますが、それ以外にも4つのメリットがあります。

  • コスト削減
  • リードタイムの短縮
  • 業務品質の向上
  • コンプライアンスの強化

コスト削減

電子契約の導入で、それまで書面契約に要していた印紙代や郵送代を削減できます。また、契約書を印刷する紙代やインク代の節約にもつながるほか、印刷や封入に必要であった人手が業務上必要なくなります。そのため、人件費を含めた大幅なコスト削減が期待できるのです。

なお、印紙税法第2条によると、契約書は課税対象となることが規定されています。しかし、電子契約に関しては平成17年に出された内閣参質162第9号において課税対象外であることが明言されました。また、国税庁の見解でも電子契約は課税対象にはならないとしています。

出典:e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/

リードタイムの短縮

電子契約はメール、もしくはクラウド上でのやりとりになるため、郵送でかかる期間を短縮できます。従来であれば書面作成後の郵送と、相手の署名と返送で大幅な時間を要していました。しかし、電子契約の場合はこのリードタイムが最小限で済むため、業務時間の短縮に貢献しているのです。

昨今ではスマートフォン上で電子契約を締結するやり方もあるため、ますますリードタイムは短縮される傾向にあります。早ければ5分程度で契約締結が完了するため、次の段階へ早く歩を進めることができるようになるのです。

業務品質の向上

契約までのリードタイム短縮によって、案件への着手も早めることができるのは先述したとおりです。

また、紙媒体で契約書を郵送する際に発生していた封入封緘作業での送り先の間違いといった人為的ミスや、契約内容の変更にも即座に対応可能になるのです。時間や労力を最小限に抑えることができるため、他の業務にも手が回るようになる結果、業務品質の向上につながります。

コンプライアンスの強化

書庫や書棚での保管では、改ざんや保管漏れのリスク、情報漏洩の危険性もありました。しかし、電子契約はサーバー上に保管するため紛失のリスクがなくなり、コンプライアンス強化につながります。

電子データによる保管のほかにも、タイムスタンプを採用することで改ざんのリスクはさらに低くなるでしょう。万が一データを紛失するようなことがあっても、復元することができるのは電子契約の強みともいえます。契約の進捗を確認する手間も少なくなります。契約内容の改ざんや紛失のリスクを大幅に会議できるため、コンプライアンス強化にはもってこいです。

利便性も高く業務効率化も期待できる電子契約ですが、デメリットがあることも忘れてはいけません。導入に際してはデメリットにもしっかりと目を向け、導入するかどうかを検討しましょう。

電子契約では対応できない書類もある

紙の契約書の電子版というイメージから、あらゆる契約書が電子契約可能だと思っている人もいます。しかし、実際には法令により、電子契約不可の書類があることを忘れてはいけません。以下に、電子契約が認められていない書類の例を掲載しています。

【電子契約不可の書類例】

  • 宅地建物売買等媒介契約
  • 定期借地契約・定期建物賃貸借契約
  • マンション管理業務委託契約
  • 訪問販売等特定商取引における交付書面 など

以前は労働者派遣(個別)契約も、電子契約が認められていませんでした。しかし、2021年1月の労働者派遣法改正で解禁され、現在では電子契約が可能になっています。このように、現在は電子署名に対応していないものも、今後の法改正で電子署名が認められる可能性は十分にあります。

出典:e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/

社内および取引先との調整が必要

電子契約導入に際して、社内と取引先との調整が必須であることも忘れてはいけません。電子契約導入前には社内の業務フローを見直すなどの動きが必要になります。

なお、取引先に対してアカウント発行を行うことで、取引先が同じサービスを導入していなくても電子契約は可能です。電子契約に移行することの通知と移行する時期、アカウントをいつ渡すかについての調整は事前に必要ではあるものの、依頼先に電子契約サービスを導入してもらう必要はありません。

電子契約の導入を検討しているなら、富士フイルムビジネスイノベーションの導入サポートがおすすめです。富士フイルムビジネスイノベーションでは各電子契約サービスメーカーの認定パートナーとして、自社にあったサービス選びを提案できます。

電子契約サービスの導入から運用までサポートするだけではなく、自社の電子化ペースに合わせたフレキシブルな対応も可能です。電子化の流れが加速する昨今、電子契約の導入を前向きに考えているのであれば、ぜひ富士フイルムビジネスイノベーションの導入サポートをご活用ください。資料請求やお問い合わせはこちらから無料で承っています。

時代の流れにマッチし、急速に利用者を増やした電子契約は、今後法的に認められる範囲を拡大しながら当たり前となっていくでしょう。一定のデメリットはあるものの、電子契約を導入することによるメリットは非常に大きいものがあります。法的効力も認められており、今後の契約においてスタンダードになっていくことでしょう。電子契約を導入するなら今が考え時です。導入に際しては、ぜひ富士フイルムビジネスイノベーションの導入サポートもご検討ください。

まとめ