日本

連続撮影に耐える冷却機構でストレス軽減
COREVISION LDが大血管手術の精度向上に寄与

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

新潟大学大学院
医歯学総合研究科
呼吸循環外科学分野 講師・総括医長
岡本 竹司 先生

新潟大学医歯学総合病院
診療支援部長・診療放射線技師長
金沢 勉 技師長

岡本 竹司 先生

金沢 勉 技師長

“低侵襲治療”をテーマに掲げ、血管外科グループでは腹部大動脈瘤、胸部大動脈瘤に対して、緊急症例を含めて可能な限りステントグラフト内挿術で治療している新潟大学医歯学総合病院心臓血管外科。外科用Cアームの選定のポイントや使用感などについてお話をうかがった。

貴院での診療の特長と外科用Cアームの用途は。

岡本先生 当科では、大血管、心臓、末梢血管、呼吸器と、胸部外科のあらゆる疾患に対して診療にあたっています。そして、“低侵襲”をテーマとし、特に私が専門としている大血管治療においては可能な限り開胸・開腹を行わないのはもちろん、バイパスも行わず、血管内治療だけで手術を完遂することを目指して日々精進しています。

昨年の心臓血管外科全体の手術件数は550件。内訳は呼吸器が約200件、心臓が約200件、大血管が約100件、末梢血管が50~60件です。その中で、外科用CアームのX線動画は大血管手術の8~9割を占めるステントグラフト手術のほか、末梢血管の手術でも使用しています。

外科用Cアームの選定で重視した点は。

岡本先生 以前使用していた外科用Cアームでは管球の能力が低下し、手術中にたびたび装置がオーバーヒートして止まってしまうという問題を抱えていました。そのため、連続撮影を行っても止まることがなく、かつ長期間使用しても劣化が少ないという両面での“耐久性”を最も重視しました。その上で画質、画像処理、装置の取り回し、アフターサポートなどを総合的に考慮して選定を行いました。

外科用Cアームに高画質が求められる場面は。

岡本先生 ステントグラフトによる治療は、ステントグラフトという“筒”を入れることで大動脈瘤の破裂を予防するもので、以前は大動脈から枝が出ている箇所には入れられないという課題がありました。しかし、近年は機器の向上により治療範囲が拡大し、脳に向かう頸部分枝や腹部分枝の範囲にできた動脈瘤に対しても治療できることがあります。その際は、複数のステントグラフトを血管内で組み立てたり、分枝に向けてガイドワイヤーを進めたりするといった精密な手技を行うため、画像の鮮明性やガイドワイヤーの動きをとらえる画質が非常に大切です。

導入されたCOREVISION LDの使用感は。

岡本先生 選定の際に最も重視していた耐久性については期待通りでしたね。先日、1回の手術で透視時間が6時間以上に及んだことがあったのですが、装置の心配をすることさえ忘れていて、純粋に手技だけに集中できました。取り回しについては、装置自体がコンパクトになっているため、余裕を持ってアームを振れると感じています。

機能面で感じていることは。

岡本先生 ステントグラフトを用いた手術では、造影剤が流れている血管を強調したDSA画像に注意すべき箇所などをマークしてから手技に入ります。以前は画面上に直接ペンでマークなどを書き込んでいましたが、COREVISION LDではDSA画像にタッチパネルで自由にマークや文字が書き込める機能を活用しています。この機能は、書きやすさや描出性の良さはもちろん、書き込んだマークなどが画面の拡大・縮小に追従する点やDSA画像と合わせて保存される点も非常に良いですね。全例で録画保存しているX線動画は、症例の振り返りに使用し、ワイヤー操作や留置のテクニックの向上などに活用しています。

そして、DSA画像を加算して対象箇所の全体が見やすいMSA画像は、大動脈解離の病態の評価にも活用できるのではないかと期待しています。

得られる画像については、従来の装置はI.I.方式*1でしたが、フラットパネルになったことで画像のゆがみがなくなり撮像範囲が大きくなったため、DSA撮影を行う回数が減りました。現状でも血管内治療には十分な画質だと思いますが、さらに上を目指して心臓血管外科領域に合わせた“味付け”を加えていただければと期待しています。

胸部大動脈

〈DSA撮影〉
最終造影で開窓部と頚部分枝の位置が合っていることが確認可能

〈DSA後の手書きによる画像描出〉
分枝血管と開窓部を合わせるのが容易

  • *1 I.I.方式(イメージインテンシファイア):
    入射X線像を可視光像に変換する電子管で、出力された可視光像はテレビカメラに取り込まれ、X線診断画像として描出される

COREVISION LDを初めて見た時の印象は。

金沢技師長 まず静止画が非常にきれいだと思いました。そして、動画については1フレーム単位で画像処理をしていると聞いていたので、少し反応が遅いのかなと思っていたのですが、実際に見てみるとダイナミック処理*2やノイズ抑制処理がしっかりとかかった上でなめらかに動いていることに驚きました。

COREVISION LDの評価は。

金沢技師長 導入前は、装置の管球能力の問題もあり、いかにオーバーヒートさせないということが、放射線技師の最大の仕事になっていました。COREVISION LDを導入してからは透視が止まる心配がなくなったことで、被ばくを少なくするためにレートを調整したり、先生が手技をしやすいように管球の位置を変えたりという、本来の仕事に集中できるようになりました。画質については、現状の線量ではアンギオ装置と遜色のないレベルだと感じていますので、今後、線量適正化を行い、さらなる被ばく低減につなげていきたいと考えています。

導入後、ワークフローに変化は。

金沢技師長 今回、RISサーバーと連携したことで検査のワークリストを取得するMWM(Modality Worklist Management)が可能となりました。さらに画像データが画像検像システム(SYNAPSE QA)に自動送信されるようになったことで、技師のワークフローが大きく改善されました。そして、これは運用が始まった後に気づいたのですが、COREVISION LDの画像はハレーションが少なく、心臓の透視にも適していると感じる部分がありますので、今後、アンギオ装置の開発も検討していただければと期待しています。

大画面に映し出された透視画像で、手技の容易さを確保するとともに、情報共有が可能

  • *2 ダイナミック処理:
    変換された三次元画像から人体の厚みの異なる部分や構造物を認識し、コントラストと濃度を最適化する画像処理