このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
技師長 中西 章仁 先生
副技師長 首藤 淳 先生
技師長補佐 山下 晃司 先生
主任 坂倉 智紀 先生
東京都・多摩地域唯一の大学付属病院の本院で、特定機能病院として高度な医療を提供する杏林大学医学部付属病院。
軽量X線透視診断装置「FUJIFILM DR CALNEO CROSS」の開発や評価のフェーズで協力していただいた放射線部の方々に使用感や画質の評価などについてお話をうかがった。
外科用Cアームを用いた手術件数と主な術式は。
中西先生 令和2年度の総手術件数約1万1,200件のうち、整形外科領域の骨折観血的手術、後方椎体間固定術、泌尿器科領域の経尿道的尿管砕石術、尿管ステント留置術など、1,087件で外科用Cアームを使用しました。
CALNEO CROSSの使用感は。
首藤先生 1台で透視と静止画撮影が可能になったことで撮影効率が向上し、手術時間の短縮につながりました。また、FPD(FUJIFILM DR CALNEO Flow)を取り外して使用できる点は、ワークフローのみならずコスト面でもメリットがあると感じています。
コンソールの操作性は。
首藤先生 操作画面が大きく、インターフェースはシンプルなデザインで分かりやすいですね。また、透視モード・撮影モードの切り替えや透視検査パラメータ、稼働絞りのコリメータ操作などはタッチパネルで簡単に操作でき、このあたりは一般撮影装置のDRコンソールの作り込みが活かされていると感じています。
受光部のパネルが3タイプ使用できる点は。
山下先生 通常の外科用Cアームは12×12インチが基本ですので、それとほぼ同サイズの10×12に加えて、14×17、17×17も使えると聞いて驚きました。そして、実際に14×17、17×17を広範囲の椎体固定術などで使用したところ、検出器を固定したまま広い視野が得られるため、執刀医の手術効率が向上し、手術時間の短縮につながりました。加えて、アームを移動させる際に術野などに触れる心配がなくなったことで、安全性の向上にもつながっていると感じています。
機動性については。
坂倉先生 本体の走行もアーミングも軽快かつ自在に操作でき、特に女性や年配の技師の利便性が向上しました。また、ケーブルレスになったことで、取り回しのストレスが低減しただけでなく、配置の自由度が上がり、手術室内の限られたスペースを有効活用できるようになりました。この点については、麻酔科医や手術室看護師の評判も非常に良好です。なお、CALNEO CROSSは首振り動作ができませんが、機動性が高いため、本体を動かすことで問題なく対応できています。
消毒・清掃のしやすさは。
坂倉先生 ケーブルがある外科用Cアームは、手術中に患者の血液や体液等が直接または手術室の床から付着し、その都度、清掃する必要があります。しかし、CALNEO CROSSはケーブルレスのため、そのような清掃の手間がなく、感染防止の面からも非常にありがたいと思っています。また、アームについては、色がシルバーで患者の血液や体液等の付着が判別しやすいことに加え、滑らかな作りで清掃しやすいと感じています。
バッテリー駆動のメリットは。
山下先生 通常、外科用Cアームは手術室に配置してからケーブル接続や立ち上げで数分程度を要しますが、CALNEO CROSSは電源を立ち上げながら移動させられるため、手術室に到着後すぐに使用できます。これは、特に夜間や繫忙時など、緊急で透視を使用したい時に効果を発揮すると思います。
駆動時間については、満充電で問題なく1日の作業が行えていますし、もし充電が切れそうになったとしても電源に接続すれば給電しながら動かせるので安心感があります。さらに、外科用Cアームは200V電源対応が多い中、CALNEO CROSSは100V電源対応ですので、さまざまな場所で充電対応できる強みがあると思います。
画質に対する評価は。
首藤先生 静止画については、富士フイルムの豊富な作り込みの実績が反映された高解像かつ見やすい画像だと思いました。また、透視画像についても各種の画像処理技術によって、非常に解像力の高い透視画像に仕上げられており、ワンショット撮影の画質は静止画の代用になるのではないかと思うほど鮮明ですね。
現在は臨床での評価と併用して、ファントムを使用した各種の視覚評価および物理評価を行っている段階ですが、臨床では透視画像、静止画ともに、すべての部位で高い水準の画質が得られ、特にインプラントを入れた際の骨とインプラントの境界の明瞭性に優れていると感じています。
執刀医の評価は。
中西先生 とても高い評価を得ています。中でも、骨折を治療する整形外科医の評価が特に高く、「大腿、下腿骨の長管骨骨折等を広い視野で透視しながら手術できることや、スムーズに術後撮影が行えることで、手術時間の短縮や安全性の向上についても大幅に貢献する装置である」とコメントをいただきました。また、画質については、骨腫瘍の手術において「画像がきれいで、腫瘍部分が見やすい」という評価をいただいています。
今後、富士フイルムに期待していることは。
中西先生 まず、外科用Cアームについては、大きなパネルサイズが選択できるCALNEO CROSSの長所を活かしたDSA搭載型ハイエンド装置の開発に期待しています。そして今後は、富士フイルムが持っている最先端の画像処理技術、AI技術等に、新たに加わったMRI、X線TV、CT等の技術を融合させることで、さらに進化した医療機器を開発するとともに、世界屈指の医療メーカーとして今以上の存在感を発揮していただければと期待しています。