生協（生活協同組合）は、消費者自身が出資して組合員となり、より良い暮らしの実現を目指して利用・運営している組織です。弊会は、各地にある生協や都道府県別・事業種別の生協連合会が加入する全国連合会で、商品の開発と会員生協への供給、会員生協の事業や活動のサポートなどを行っています。

2020年、SDGsをベースとした「日本の生協の2030年ビジョン」を掲げ、その一環として働き方改革に取り組みはじめました。その矢先、新型コロナウイルスの感染拡大で働き方をさらに大きく変えていく必要が生じ、本部ビルであるコーププラザのオフィス改革に乗り出しました。具体的には、場所を選ばず働けるように固定席を撤廃してフリーアドレス化し、その分、交流スペースを設けるというものです。あわせて、リモートワークの拡充も目指し、ペーパーレスプロジェクトを立ち上げました。

しかし、オフィスの工事スケジュールに間に合うように紙を削減しなければならないほか、利用中のグループウェアを、Microsoft365の「SharePoint」への刷新・移行作業と同時進行しなければならず、その間のデータ利活用はどうしたらいいのかなど、課題は山積みでした。そんなときに、富士フイルムビジネスイノベーションからご提案いただいたのが、専用のロボットとAIで紙文書を高速に電子化・分類し、クラウドを通じて活用しやすい形で提供してくれるスキャニングサービスです。

スキャニングのために紙文書を預けてから1〜2週間ほどで電子化され、AI-OCRを活用して文書属性を自動で抽出・設定してくれるところが魅力的でした。電子化された文書はクラウドサービス「Canopy」ですぐに見ることができるほか、バッチ処理で「Canopy」から「SharePoint」に負担なく移行でき、データ移行の手間を減らしたかった私たちに大きなポイントになりました。このほか、契約前に富士フイルムビジネスイノベーションの担当者と一緒に各部署を回ったのですが、電子化したほうがよいもの、紙で保管したほうがよいものを的確にアドバイスしていただきました。その知識の高さやこちらの立場に立って考えてくれる安心感など、コンサルティングの要素を併せ持っていることも導入の決め手になりましたね。

キーワード検索が可能になり、大きな業務効率化につながっています。例えば、商品の仕様書検索や退職者のデータ整理など、紙文書の時は数時間を要していた作業が数分でできるようになりました。最初は、「電子化のために文書を預けている間、業務が止まるのが怖い」という職員もいましたが、あっという間に電子化されてクラウド上で見られることを知り、安心できたようです。今では文書管理に対する意識が変化し、職員間で「この資料はデータで保管しておこう」という会話も生まれています。

これまでに段ボール200箱分を電子化し、廃棄した分なども併せて37%もの紙を削減することができました。その結果、オンライン会議やミーティングのスペースを増やすことができたり、人が回遊しやすくなってコミュニケーションが取りやすくなったりと、さまざまな効果につながっています。また、キャビネットが減ったことで、災害時などの安全衛生上も大きなメリットを感じています。本当に良いことばかりで、もう以前のような環境には戻れません。