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軽視できない、プリントバーの厚み。バーを薄くする設計のヒント

本記事の「3つのポイント」
  • プリントバーを薄くすることで装置小型化とコストダウン、色見当ズレ抑制を実現
  • 薄くするための3つの要素:(1)ヘッド(2)インク循環機構(3)ヘッド駆動基板
  • プリントバーに内蔵するインク循環機構とヘッド駆動基板の放熱機構の選定は重要

厚いプリントバーがもたらす課題

多色印刷を行う場合、基材の搬送方向にプリントバーを複数並べることになります。この時、プリントバーが厚いと、以下のことが起こります。

1.装置の大型化

シングルパスインクジェットプリンターの場合、印字に必要な距離は以下の式で決まります。

(プリントバーの厚み+プリントバー同士の配置間隔)×色数

プリントバーの厚みの増加は印字に必要な距離の増加につながり、装置の大型化を引き起こします。
例えば、平面搬送方式では単純に装置の長さが伸び(図1)、ドラム搬送方式の場合は、印字に必要な距離の増加に伴ってドラム直径を大きくしなければならず、装置の高さを増加させる必要があります(図2)。特に、大きなドラムは製造コストが高くなり、サイズによっては1胴で何百万円ものコストアップになる可能性もあります。

図1 平面搬送方式の場合

図2 ドラム搬送方式の場合

プリントバーを薄くするために考えるべき“3つの要素”

プリントバーを薄くするためには、以下の3要素について考慮する必要があります。

1.ヘッド

ヘッドの形状とプリントバー化する際のヘッドの配置がプリントバーの厚みに大きく影響します。特に、ドラム搬送方式の場合は、プリントバーのドラムに近い部分が厚くなると、ドラムの直径が大きくなります。
 

2.インク循環機構

インクの循環機構としては以下のような複数の構成ユニットが必用であり、どこまでをプリントバーに内蔵するかで、その厚みが大きく変わります。

  • ポンプやインク配管など、ヘッドまでインクを循環させるための送液ユニット
  • インク内の異物を除去するフィルタリングユニット
  • ヘッド内部の圧力を一定に保つための圧力調整ユニット
  • インクの温度を一定に保つための温度調整ユニット

3.ヘッド駆動基板

ヘッドの駆動波形を生成するためのヘッド駆動基板は、印刷画像の解像度と基材搬送速度の増加にともない回路の駆動周波数が高くなり、発熱量も大きくなります。そのために放熱機構を設けると、プリントバーが厚くなります。

薄いプリントバーを実現するためのポイント

それぞれの要素について、以下のポイントを考慮してプリントバー設計を進める必要があります。

2.インク循環機構

プリントバーに内蔵するインク循環機構を、ヘッドの近くに配置する必要があるものだけに厳選し、内蔵物を減らすことが有効です。ヘッドの近くに配置する必要がないものは、プリントバーの外部に配置します。

3.ヘッド駆動基板

使用するヘッドや使用条件に応じて、最適な冷却方式・機構を検討・選定する必要があります。空冷方式は水冷方式に比べて、必要スペースを小さくできます。一方、水冷方式は空冷方式に比べて熱伝達率が高く、効率よく放熱することが可能です。

Jet Press開発の経験に基づいて当社が開発したインクジェットコンポーネント製品「Samba JPC」では、インク循環ポンプやインク温調機能をプリントバーと切り離して外部に搭載し、ヘッド駆動基板の放熱には薄型の高効率デバイスを採用するなど、上記のポイントを考慮しつつ、必要な対策を施し、薄型化を実現しています。

富士フイルムでは、高解像度シングルパスインクジェットプリンター開発に取り組む皆さまに、「Samba JPC」を通じて私たちの知見・技術を活用いただき、御社の開発を効率化することで、プリンティングのデジタル化を一緒にリードし、インクジェット市場の拡大と発展に寄与したいと考えています。