このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
理事
齋藤 陽久 先生
診療技術局放射線科 主幹
板橋 幸男 先生

(左)齋藤先生(右)板橋先生
40診療科、989床を擁し、千葉県北東部から茨城県南東部におよぶ半径30km、診療圏人口約100万人の中核病院として幅広い診療を提供する総合病院 国保旭中央病院。「胸部X線画像病変検出ソフトウェアCXR-AID」を導入した経緯や使用感などについてお話をうかがった。
齊藤氏 「すべては患者さんのために」の理念のもと、地域の皆さまの健康を守ることを使命とし、高度専門医療と365日24時間体制の救急医療を柱とする幅広い診療に力を注いでいます。
板橋氏 モダリティ数はポータブルも含めて14台、年間の撮影件数は約10万件で、そのうち6~7割を胸部が占めています。
齊藤氏 当院では、従来から呼吸器内科が胸部単純写真の読影を担っていますが、全例に対応するのは難しいため、特に要望が強いものに限定して読影を行っています。その一方で、医療安全という観点からは、やはり全例の読影を行う必要があると考えていました。そのような中で、CXR-AIDが発売されると聞き、医療安全の向上のために活用したいと思いました。そして、当院では中期計画および年度計画のもとで、AI技術の活用を含めたDXを推進しており、CXR-AIDはそうした計画に沿うものでもありましたので、当院におけるAI技術活用の最初のモデルとして導入が決まりました。
齊藤氏 ポータブル撮影を除いた全科全例の胸部単純写真で使用しており、人間ドックでも使用しています。
齊藤氏 当院では私ともう1名の呼吸器内科医が分担して読影を担当していますが、読影自体は一人で行うため、CXR-AIDによる見落とし防止支援があることで、心理的な負担が軽減しました。特に、自分で読影して異常がなく、CXR-AIDでも異常がないケースでは安心感がありますね。
齊藤氏 まだ導入して約1か月の段階ですが、私の感覚とほぼ一致しており、期待通りの精度が得られていると感じています。
板橋氏 導入前は、ほぼ陰性であろうというものまでヒートマップ表示されてしまうのではないかと危惧していましたが、実際に使用するとそういったことはなく、陰性は陰性と判定されるので安心しました。また、CXR-AIDは検出感度が高いため、時折、明らかな偽陽性も見受けられますが、医師が確認すれば問題なく除外できると思います。その中で、私自身の感触としては、気胸はほとんど見逃さないように感じています。さらに、症状の改善に伴ってヒートマップの確信度が下がり、領域が小さくなっていく点も興味深いと思いました。

齊藤氏 通常の画像とCXR-AIDで処理した画像の2枚を見ることになりますが、読影の負荷は従来とほとんど変わっていません。
板橋氏 我々診療放射線技師のワークフローに変化はありません。当院のように一般撮影の件数が多いと、一つ作業が増えるだけで全体の負荷が大幅に増加します。したがって、もし作業が増えたり、ワークフローが変化するような製品であれば、導入に至らなかったと思います。
齊藤氏 毎回、CXR-AIDで処理した画像を見せるわけではありませんが、検診の患者さんに「私が見ても異常がなく、AI技術を使ったソフトでも異常がありませんでした」とお伝えしたことがあります。もしかしたら、そうした説明が患者さんの安心感や納得感につながる可能性があるかもしれないと考えています。
板橋氏 胸部単純X線検査は日常診療のさまざまな場面で行われますので、その中で少しでも見落とし防止の支援をすることで、医療安全の向上につながればと期待しています。
齊藤氏 中長期的な期待にはなりますが、見落とし防止などの画像診断支援にとどまらず、AIでさまざまなデータを解析することで最終診断にまで踏み込むような製品の開発に期待しています。