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日本

導入事例新国内科医院

在宅診療における小型X線発生装置の活用と画像処理ソフトウェア、AI技術を用いた胸部X線画像病変検出ソフトウェアの使用経験

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

介護・福祉を含めた地域包括ケアシステムの中で“かかりつけ医”としての機能を果たし、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるように支援を行う新国内科医院。同院の事務長で診療放射線技師の鍜治川隆氏に、小型X線撮影装置「CALNEO Xair」と胸部X線画像病変検出ソフトウェアCXR-AIDがインストールされた小型拡張ユニット「EX-Mobile」を導入した経緯や使用感などについてお話をうかがった。

新国内科医院
診療放射線技師・事務長
鍜治川 隆 氏

新国内科医院の特長は。

当院は「在宅医療は診療所機能の一つである」という考えのもと、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるように支援するために設立されました。在宅診療の訪問エリアは、兵庫県神戸市垂水区・須磨区・西区などで、患者数は居宅60名、施設40名の合計100名程度となっています。

軽自動車でも運搬が容易な撮影装置一式

在宅におけるポータブルX線撮影の件数は。

私は新国内科医院での活動以外に、医師や外来ナース、メディカルスタッフ、ドライバークルーがチームとなって患者さんを24時間体制で見守るシステムである「K-DOSSネットワーク」を立ち上げて、さまざまな診療所の支援を行っています(図1)。

その活動も含めた年間のポータブルX線撮影件数は約700件で、居宅と施設の割合は5:5となっています。

そして現在は、女性の診療放射線技師と私の計2名がポータブルX線撮影を担当し、実際の撮影は技師が一人で居宅や施設に訪問して行います。使用しているX線発生装置は、「CALNEO Xair」を含めた2台で、女性技師は小型で軽量なCALNEO Xairのみを使用しています。

在宅でのポータブルX線撮影で心がけていることは。

病院内にルールがあるように、患者さんのご自宅にもそれぞれルールがあります。そのルールを確認して、最大限配慮するように心がけています。例えば、基本的なルールとして布団を踏まないようにするのは当たり前ですが、撮影にあたってどうしても布団を踏まざるを得ないこともあります。そういう場合は、その旨をお伝えした上でシューズカバーをつけて作業をするようにしていますし、装置類を床に置く場合も持参した清潔な敷物の上に置くようにしています。また、撮影にあたっては、撮影の流れや内容をできるだけ細かく説明して、納得していただいた上で撮影を行います。患者さんの協力がなければ良い写真が撮れないので、積極的な声かけと丁寧な説明はとても重要だと感じています。

富士フイルムのX線撮影装置に対する印象は。

私は1991年にFCRを初めて使用し、その後にかかわったクリニックでも富士フイルム製品を使用する機会が多くありました。その中で、富士フイルムのX線撮影装置は、デジタル画像の描出が良いだけでなく、アナログ的な画作りをされている点にも好感を持っていました。

CALNEO Xairを導入した経緯は。

当院では従来からポータブルX線発生装置を使用していましたが、装置のサイズと重量の点で誰もが簡単に扱える装置ではないと感じていました。そこで、今後の在宅におけるポータブルX線撮影件数の増加を見据えて、誰でも手軽に扱えることに加え、在宅医療で求められる運搬の容易さを備えた装置を導入したいと考えました。そのような考えのもとで選定を進めた結果、小型・軽量で運搬も容易なXairの導入に至りました。

在宅での撮影フローは。

装置やPC、その他補助用具は軽自動車で運搬して、被検者のベットサイドで臥位・坐位姿勢などで撮影をします。撮影後はその場で画像処理ユニットConsole Advanceにて画像確認・調整を行い、クリニックに戻って富士画像診断ワークステーションC@RNCAOREへ送信処理を行います。その後、読影をして所見記載を行い、自院で構築したクラウドシステム上で放射線科医への読影依頼を行います。なお、至急の場合は撮影現場で画像処理をして自院のクラウドにアップロードし、主治医とリアルタイムで連携するケースもあります。

在宅で撮影した画像の画質は。

導入前は出力面での懸念がありましたが、Xairと同時に導入したカセッテDR CALNEO Smartと、画像処理(Virtual Grid、ダイナミック処理)などの効果もあって、より細かい気管支・血管陰影の描出や肋軟骨などの視認性が向上したと感じています。具体的には、胸部正面像では血管が良好に描出され、胸部内の石灰化についても画像のコントラスト・濃度に影響することなく適切に描出されると感じました(図2)。

図2 Xairで撮影された画像(胸部)

また、腹部については、病院の据置装置よりも出力が低いので、ノイズの影響を都度判断することが必要にはなりますが、今のところ問題なく撮影できています(図3)。

その一方で、やはり症例によっては心臓の裏、肝臓の裏などの粒状性が気になることもあるので、装置の特徴を踏まえて運用することが重要だと考えています。

図3 腹部臥位・坐位

在宅や訪問でのX線検査について患者さん、ご家族の反応は。

まず、X線撮影が自宅で可能なことやコンパクトな装置であることに驚かれますね。また、病院を受診せずに済み、移動の労力と待ち時間がないことにも感謝されます。また、地域の基幹病院とほぼ同じレベルの検査が可能な点もアピールポイントになっています。

費用対効果は。

ポータブルX線撮影の診療報酬のみでXair、カセッテDRおよび画像処理ユニットの導入費を回収することは難しいと思いますが、居宅や施設で手軽にX線撮影ができるメリットは大きく、患者さんやご家族の利便性を第一に考えるのであれば導入する価値は十分にあると感じています。また、経営者目線からは、結婚や子育てで第一線から退いた技師の復帰を含めて、誰もが働きやすい労働環境づくりにも寄与するシステムだと考えています。

CXR-AIDおよびEX-Mobileを導入した経緯と現在の運用方法は。

X線撮影の価値と精度をさらに向上させることを目的として導入しました。現在、胸部X線写真は全例でCXR-AIDによる処理を実施し最初にCAD無しで読影して、次にCAD有りで読影し、病変が検出された際はその所見を付けて医師への読影依頼を行っています。

CXR-AIDによる病変検出で印象深い症例は。

全般的に、所見として拾い上げるか迷うような細かい病変までしっかりと検出している印象です。その中で個別の症例としては、散在する陳旧性炎症性変化と大動脈弓に重なる腫瘤陰影の検出が特に印象に残っています(図4)。

図4 異常領域候補を検出(医師の診断結果:陳旧性炎症)

在宅におけるポータブルX線撮影の展望は。

近年、在宅におけるポータブルX線撮影でも至急の症例が増えてきており、そうした撮影では医師とのリアルタイムでの連携が必要になるため病棟でのポータブル撮影に近い感覚があります。今後の在宅医療においては、我々が構築したネットワークのようなクラウドを介したリアルタイムでの連携が不可欠になってくると思いますし、在宅でも病院と同じレベルの検査が求められるようになると考えています。また、在宅におけるポータブルX線撮影のニーズが高まるにつれて、撮影を行う診療放射線技師の需要が増えることが期待されます。その際に、小型・軽量で誰もが使いやすく、高画質な画像が得られるXair、カセッテDRおよび画像処理ユニットの組み合わせが活用される機会もさらに増えていくのではないかと考えています。

今後、富士フイルムに期待することは。

ポータブルX線撮影装置のさらなる小型化・軽量化に期待するとともに、体厚が厚い患者さんのノイズ影響をより軽減できれば、活用の幅がさらに広がると考えています。また、AI技術を活用した病変検出ソフトウェアの胸部以外への拡大にも期待しています。さらに、ポータブルX線撮影システムによって複数の医療機関とリアルタイムに画像が共有でき、読影から診断まで連携可能なクラウドソリューションを構築・提供していただけると、在宅領域全体の利便性および診療の質向上につながると思います。

CALNEO Xair

販売名

ポータブルX線撮影装置 XD2000

認証番号

230ABBZX00077000

CALNEO Xair 保持装置

保持装置

小型四脚

販売名

保持装置 XD2000 ST-S

届出番号

14B1X10022000129

FUJIFILM DR CALNEO Smart

販売名

デジタルラジオグラフィ DR-ID 1200

認証番号

226ABBZX00085000

Console Advance

販売名

富士フイルム DR-ID 300の付属品(画像処理ユニット:DR-ID 300CL)

認証番号

221ABBZX00151000

C@RNACORE

販売名

富士画像診断ワークステーション CC-WS674型

認証番号

22200BZX00909000

胸部X線画像病変検出ソフトウェア CXR-AID

販売名

胸部X線画像病変検出(CAD)プログラム LU-AI689型

承認番号

30300BZX00188000

EX-Mobileは、下記オプションです。

販売名

富士画像診断ワークステーション CC-WS674 型 の付属品EX-M1

認証番号

22200BZX00909000

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  • 携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair」のカタログ
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