当社の各地区のFMセンターでは2016年ごろから、多様な働き方を実現するため、オフィスのフリーアドレス化や業務の効率化、スペースの有効活用などを目指す「ワークプレイス変革」への取り組みを進めてきました。その過程で、大阪南部地区FMセンターでも課題の洗い出しを行ったところ、浮かび上がってきたのが、紙の書類を前提とする業務の多さでした。

大量に印刷するためにプリンターの取り合い・順番待ちが発生していたり、個々人のデスクに紙がたくさん積まれているため、回付中の書類がだれかのデスク上で埋没して回付が止まってしまうというケースもありました。また、増え続ける紙の保管場所にオフィスのスペースが圧迫されることや、過去の書類の確認のために倉庫に行かなければならないことも大きな課題でした。さらには、書類に押印するためだけに事務所に戻る、事務所間でのやりとりは社内便で1日かかるなど、大きな時間の無駄も発生していました。このように、紙によって引き起こされる問題が数え切れないほど挙がってきたのです。

「ワークプレイス変革」を実現するには、なんとしても紙を使った業務を減らさなければならない。しかし、業務の性質上、多種多様な書類を大量に扱うこと自体は変えられません。紙を減らすなどということが可能なのだろうか……と思い悩みながら、富士フイルムビジネスイノベーションジャパンに相談したところ、DocuWorksの提案を受けたのでした。

紙でしていた仕事をそのまま電子に置き換えられるところがよいと思いました。業務のやり方を大きく変えた印象がなく、ただ紙の書類がパソコンに入りました、といったビジュアルや使い勝手です。当センターは平均年齢も高く、やりなれた紙での業務を電子に変えることに抵抗感を持つ人もかなり多かったのですが、一度使えば簡単だと分かりました。「付箋」「スタンプ」などの用語が親しみやすく、バインダーに書類を束ねるといった操作も普通の紙と同様で、直感的に使えます。導入から普及期にかけて、富士フイルムビジネスイノベーションジャパンに手厚くフォローしていただいたこともあり、スムーズに展開できました。

当社ではDocuWorksを、正式な書類処理のための業務システムとしてではなく、あくまでセンター内部でコンセンサスを得るための「コミュニケーションツール」として活用しています。従来は紙に印刷して回覧していた書類をDocuWorksでデジタル化し、遠隔地を含め部門内で回覧するという使い方がいちばん多いですね。これまでも書類をPDFにしてメールで送ったりしていましたが、メール自体が埋もれてしまって、「届いていないよ」と言われることもたびたびありました。DocuWorksなら自分のトレイを見ればすぐに見つかります。社内のやりとりがとてもスムーズになるなど、「紙問題」が一気に改善されました。

具体的な効果も数字で出ています。例えば、紙の印刷や回付などコア業務以外にかかっていた時間が導入前から1日当たり44分削減されました。また、ペーパーレス化により書類の保管場所は63％を削減、A4用紙の年間使用量は32％削減。さらに、事務職の在宅勤務実施率も36％を達成し、コロナ禍における目標値をクリア。そして、オフィスのフリーアドレス化も可能になりました。

このように大きな効果が出たことから、近隣のFMセンターにもクチコミ的に導入が広がり、現在では本社の主導で他支店のFMセンターでの活用を推進しているところです。

在宅勤務や別拠点など、一緒に働くメンバーがあちこちに散らばっているような部門や会社に最適なのではないでしょうか。また、取り扱う書類の量や種類が多い会社にもおすすめできます。

喫緊の課題は「働き方改革」です。建設業では、2024年に法定外労働時間の上限規制が適用されることになっており、まだまだ業務の無駄を省いていかなければなりません。そのためにも、DocuWorksのさらなる有効活用を図っていきたいと考えています。